洗濯物を取り込もうとしたベランダの手すりに、黒くて小さい丸い虫がとまっています。よく見ると、背中に赤い点が並んでいます。
「てんとう虫って、赤いんじゃないの。これ、てんとう虫でいいの? 黒いのって……大丈夫なやつ?」
黒地に赤い星が2つでも4つでも、それは赤いてんとう虫と同じ種類の別の顔で、悪い意味は最初から乗っていません。
模様ごとの意味、家の中や体にとまったときの読み方、縁起が悪いといわれる理由、逃がすときの作法の順にたどります。
黒いてんとう虫のスピリチュアルな意味は「変化」と「成功」のサイン
黒いてんとう虫のスピリチュアルな意味は、変化と成功のサインです。
制服姿と私服姿では、同じ人がまったくの別人に見えることがあります。中身は変わっていません。黒と赤の関係も、これに近いものです。
黒地に赤い星のてんとう虫は、多くの場合ナミテントウという種類です。日本でごく普通に見られる種類で、同じ1種のまま前翅の模様が200種類以上あります。赤地に黒い点のものも、黒地に赤い点のものも、同じ種類の中の違いにすぎません。模様の詳しい話は、てんとう虫のスピリチュアルな意味の記事にまとめています。
黒いてんとう虫に伝えられてきた意味は、次の3つです。
| 伝えられている意味 | そう語られてきた理由 |
|---|---|
| 変化 | 黒はまだ何色にも染まっていない色として読まれてきたから |
| 成功・挑戦 | 黒地に赤という強い対比が、抜きん出ることの象徴として読まれてきたから |
| 信頼 | 同じ種類の中でも見かけにくい模様のため、めったに来ない使いとして読まれてきたから |
赤はすでに情熱や愛と決まっている色です。黒は、まだ何色になるか決まっていない色として、変化のほうに置かれてきました。
てんとう虫は、昔から幸運の前兆として語られてきた虫です。黒いてんとう虫も、同じ天道虫として、同じように語られてきました。
【模様別】黒に赤2つ・黒に赤4つで変わるスピリチュアルな意味
黒っぽいてんとう虫の模様は、背中の点を数えて、その色を見ることで読み分けられます。赤い点が2つ、赤い点が4つ以上、点が見当たらない、点が赤以外——黒いてんとう虫は、この4つのどれかに必ず入ります。
| 背中の模様 | 伝えられている意味 |
|---|---|
| 黒に赤い点が2つ | 対になるもの・縁・出会い |
| 黒に赤い点が4つ以上 | 動き出したものが形になっていく段階 |
| 黒一色で点なし | まだ形が決まっていない時期 |
| 黒地に白や黄色の点 | 区切りがついたこと・仕切り直し |
背中の模様ごとに、そう語られてきた理由があります。
赤い星が2つの場合のサイン
黒に赤2つのてんとう虫は、対になるもの・縁・出会いの象徴として語られてきました。恋愛運の文脈で語られることが多い模様です。
判子と割り印は、2つがそろって初めて1組の意味を持ちます。赤い点が2つというのは、この「対になって初めて成立する」読み方です。1つでは組にならず、3つでは1つ余ります。だから縁・出会い・パートナーの象徴に割り当てられてきました。
赤い星が4つの場合のサイン
黒に赤4つ、あるいはそれより多く並んでいる場合も、てんとう虫としては同じ読み方をします。
伝えられてきた意味は、動き出したものが形になっていく段階です。仕事運や金運の文脈で語られやすい模様です。
4は、四方や四隅のように面や土台を作る数として読まれてきました。2が「組む」なら、4は「立つ」。まだ結果は出ていなくても、支えができ始めた時期のサインとされています。
黒に赤4つを見て「ダンダラテントウ」という名前にたどり着き、そこで初めて種類が複数あることを知って安心した、という話はよく聞かれます。
星のない真っ黒な場合のサイン
黒いてんとう虫のうち、星がまったく見当たらない真っ黒な個体は、まだ形が決まっていない時期の合図として読まれてきました。
星の数に意味を読むのは、もともと西洋の読み方です。数えるものがない模様は、この物差しの外側にいます。読むものがないこと自体が、「これから決まる」と受け取られてきました。
白い星・黄色い星がある場合のサイン
黒地に白い星、黒地に黄色い星のあるてんとう虫は、区切りがついたこと・仕切り直しの合図として語られてきました。
白は、西洋の色の物語の中で浄化や新しい始まりに割り当てられてきた色です。黒地に白という最も強い対比は、前と後がはっきり分かれることの象徴として読まれてきました。
七つ星や、星が十以上ある種類も含めた星の数全体の読み方は、てんとう虫のスピリチュアルな意味にまとめています。
【場所別】黒いてんとう虫のスピリチュアルな意味
黒いてんとう虫を見つけた場所によっても、読み方が変わります。まず、乗っていたのが自分の体か、そうでないか。体でなければ、それは家の中か、内と外の境目か、車の中か——この順で見れば、例外なく振り分けられます。
| 見かけた場所 | 伝えられている意味 |
|---|---|
| 家の中 | 暮らしの中の何かが変わろうとしている合図 |
| 玄関・窓辺 | これから入ってくる何かの入り口に立っている合図 |
| 体・服 | その人自身に向けられた合図 |
| 車の中 | いま進もうとしている方向が合っているという合図 |
場所によって、黒いてんとう虫の意味は少しずつ変わります。
家の中で見つけたときのサイン
黒いてんとう虫を家の中で見つけたときは、暮らしの中の何かが変わろうとしている合図として読まれてきました。
知らない人が土足で上がり込んだのではなく、雨宿りに軒下へ入ってきただけ、というほうに近い出来事です。招かれざる客というより、居場所を探して入ってきた、というくらいの重さで受け取ってください。
黒は、家の中でいちばん見つけやすい色です。壁でも床でも目に入るので、「気づかなかった」が起きにくい模様です。だからこそ、気づいた側の心当たりのほうを見る合図として読まれてきました。
てんとう虫は、秋になると日当たりのよい壁に集まり、わずかな隙間から入り込んで冬を越そうとします。寒くなる時期に室内で見かけるのは、よくあることです。
家に入ってきた小さな生き物を、亡くなった人からの知らせと受け取る人もいます。決まった答えがあるわけではありませんが、そう感じても間違いではありません。
玄関や窓辺で見つけたときのサイン
黒いてんとう虫を玄関や窓辺で見つけたときは、これから入ってくる何かの入り口に立っている合図として読まれてきました。
玄関や窓辺は、内と外の境目です。まだどちらでもない場所に、まだ何色にも決まっていない模様の虫がいる——この重なりから、「決まる前」を示す合図とされてきました。
体や服に止まったときのサイン
黒いてんとう虫が体や服に止まったときは、その人自身に向けられた合図として読まれてきました。場所ではなく、人に来た合図という読み方です。
明るい色の服の上では、黒がいちばんはっきり見えます。気づかせるために来た、と読まれやすい模様です。
西洋には、手に乗せて願いを唱え、飛び立つのを待つという昔からの作法が伝わっています。止まったこと自体より、そのあと飛ぶことのほうに意味が置かれてきました。
車の中で見つけたときのサイン
黒いてんとう虫を車の中で見つけたときは、いま進もうとしている方向が合っているという合図として読まれてきました。
車は、自分で行き先を決めて動かすものです。まだ決まっていない色の虫が、決めて動く場所にいる——この重なりから、迷っている選択への後押しとして読まれてきました。
天井や職場、秋に壁へ集まるときや、何度も見かけるときの読み方は、てんとう虫のスピリチュアルな意味にまとめています。
黒いてんとう虫は縁起が悪い?不吉と感じてしまう3つの理由
黒いてんとう虫を見て、縁起が悪いのではと感じてしまう理由は、3つあります。
黒という色から受ける暗い印象
黒を見て、なんとなく不吉さを感じてしまうのは、自然なことです。黒を喪や夜、影と結びつけて読む習慣が先にあるため、虫の色にもそれを重ねてしまいます。
同じ生き物でも、条件が変わると吉凶が正反対に語られることは珍しくありません。クモの世界には、「夜の蜘蛛は殺せ、朝の蜘蛛は殺すな」という言い伝えがあります。同じ虫の吉凶が、時間帯だけで逆になる例です。吉凶は、生き物の側ではなく、読む側の決まりごとに乗っています。
黒いてんとう虫のジンクスも、これと同じです。黒という色に対する読み手側の習慣から来ているだけで、虫の側に最初から乗っている意味ではありません。
幸運のてんとう虫は赤だという印象
「てんとう虫って、赤いんじゃないの」と感じるのにも理由があります。
信号の赤と、祝儀袋にかかった水引の赤は、同じ赤でも意味が正反対です。色そのものに、固定の意味はありません。どの決まりごとの中で見るかで、意味は変わります。
外国語を習うとき、最初に覚えた単語が基準になります。あとから出会った単語は、なんとなく「例外」に見えてしまいます。赤を先に知っていた読者に起きたのも、これと同じことです。
西洋のてんとう虫の物語は、赤が中心にあります。中世ヨーロッパでは、聖母マリアの赤い衣にちなんで「聖母の虫」と呼ばれ、赤い翅と7つの黒い点が、マリアの喜びと悲しみに重ねて語られてきました。フランスには、bête à bon Dieu(善き神の虫)という呼び名もあります。この物語の中で読むかぎり、黒は「赤い衣が背景から点に入れ替わった形」に見えてしまいます。
一方、日本の「天道虫」という名前は、枝や草の先端まで登りつめ、行き場がなくなると上へ飛び立つ習性から来ています。この由来には、色の話が一行も入っていません。
黒が不吉に見えたのは、虫の側の問題ではなく、「幸運のてんとう虫は赤い」という西洋の物語を先に知っていたからです。日本の天道虫の由来には色の話が一行も入っていないので、日本の物差しで読めば、黒という例外は最初から存在しません。
赤と黒という配色そのものに、吉凶が乗っているわけではありません。意味が乗ったのは、赤を中心に置いた西洋の物語のほうです。
見慣れない模様は特別だという印象
珍しいものを見ると、何か特別な意味があるはずだと探しにいきたくなります。これも自然な反応です。ただ、黒地に赤い星は、珍しい模様ではありません。同じナミテントウの中の、ごくありふれた一種類です。
不吉だと思ったのは、見た瞬間でしたか、それとも調べているうちにでしたか。
調べているうちに不安になったのなら、不安の出どころは虫ではなく、検索結果のほうです。ここで調べるのをやめてください。
見た瞬間から本当に嫌な感じがしたのなら、それは虫の色ではなく、その日の自分の状態が映っています。そのときは、無理に幸運のサインとして受け取らず、そのまま逃がしてやってください。
不吉に見えた理由までは、ここで解けます。ただ、この合図が自分の何に向けられたものなのかまでは、色や模様をたどるだけでは分かりません。一人で調べ続けるより、自分の状況を話しながら一緒に見てもらったほうが早いこともあります。
てんとう虫を逃がすときのスピリチュアルな作法
作法に、色は関係ありません。黒いてんとう虫だからといって、特別な手順はありません。
駅まで送ってもらった人を、車から降ろさずにいるようなものです。受け取るべきなのは、虫ではなくメッセージのほうです。
日本の天道虫も、西洋の俗信も、そろって「止まった瞬間」ではなく「飛び立つ瞬間」に意味を置いてきました。
捕まえずに手のひらで待つ受け取り方
つまんだり容器に入れたりせず、指や手のひらを差し出して、乗ってくるのを待ってください。乗ってこなければ、それで終わりです。
この虫の意味は、飛び立つ瞬間に置かれてきました。留め置くことは、意味そのものを止めることになります。
飛び立った方向の覚え方
飛んでいった向きを、覚えておいてください。方角を調べ直す必要はなく、「あっちのほう」で足ります。
英語圏やカナダの俗信では、飛び立った方向から幸運が来るとされてきました。横切る・飛び去るという動きそのものに意味を置く考え方は、アゲハ蝶にも同じようにあります。
つぶしてしまったときの気持ちの収め方
「つぶしてしまって、申し訳ない」。そう口にする人は、思っている以上に多くいます。
欧州には、てんとう虫を殺すと不運になるという俗信があります。うっかりだったのなら、この言い伝えが戒めているのは、わざとの行為だけです。
黒いてんとう虫のスピリチュアルな意味のまとめ
黒いてんとう虫に、悪い意味は最初から乗っていません。赤いてんとう虫と同じ種類の、別の顔です。
不吉に見えたのは、虫の側の問題ではなく、「幸運のてんとう虫は赤い」という西洋の物語を先に知っていたからです。日本の天道虫の由来には色の話が一行も入っていないので、日本の物差しで読めば、黒という例外は最初から存在しません。
背中の点を数え終えたら、あとは捕まえずに、飛ばしてやってください。


調べれば調べるほど、書いてあることが違って、かえって迷うこともあります。そんなときは、自分の状況を話しながら一緒に整理してもらうのも一つの方法です。
